心を動かされる
先のサッカーワールドカップ2022では日本チームが強豪ドイツとスペインを破り、多くの日本人が感動で心を動かされたと思います。心を動かされた経験は、誰しもお持ちだと思いますが、私にも心の奥深く、忘れられない思い出があります。新年早々、このようなお話で申し訳ありませんが、それは母の急逝を知ったときのエピソードです。
2008年6月、私はズワイガニの買付でカナダ東部ニューファンドランド島南端の小さな町を訪れていました。ニューファンドランド島は、日本との時差12時間半、飛行機をうまく乗り継いでも丸一日かかる遠隔の地です。私が滞在していたのは、空港のあるセントジョーンズからさらに南へ342㎞、車で4時間はかかるセントローレンスという町でした。
その日の仕事が終わり、ホテルのバーでくつろいでいるとき、母の急逝をホテルの方から知らされました。それを聞いていた全員が「すぐに帰れ!」と言うのです。そう言われても、前述のとおり遠隔の地、すぐに帰国できる筈も無く、ましてや翌朝のフライトを前夜に予約するなど考えられませんでした。「帰れるときに帰ればいい」とあきらめ半分で皆の忠告を受け流しました。
この事態を真剣に受け止めてくれたのが、買い付け先の社長と副社長でした。二人はこの日、たまたま自社の加工場を訪問されていたのですが、副社長が私の部屋に来て自分の携帯電話から航空会社に連絡、ねばることおよそ2時間、不可能と思っていた翌朝7時のフライトを取ってくれたのです。仕事とは関係なく、しかも外国人である自分のために…。それだけでも十分驚きでしたが、さらに彼らは、精神的に落ち込んでいる私が夜中に1人で帰るのは危ないと、運転する人を用意し、後部座席に私を座らせ、横に社長が付き添ってくれたのです。
真夜中に出発した車は、早朝5時にセントジョーンズ空港へ到着、私はこみ上げる涙を拭いながら、何度もお礼を言って帰国の途につきました。飛行機を乗り継いで24時間、実家のある大阪の地に辿りついた時、母の葬儀はほぼ終わりかけていましたが、何とか立ち会うことが出来ました。その葬儀でも、本来私がしなくてはならないことを、多くの方に助けて頂いたのをよく覚えています。
振り返れば30時間ほどの出来事ですが、私にとっては終生忘れ得ず、人生の中で一番の心を動かされた思い出です。
話は飛びますが、我々ファイブの仕事は販売促進の企画とノベルティの提案。お客様の商品が売れ、購買者の暮らしが豊かになるアイデアを出すことです。私たちの行動で少しでも皆さまの心が動かされたら、私たちの心もまた動かされます。心動かされる出来事は、人と人とをつなげるものかもしれません。
今年も株式会社ファイブ-F.I.B-は、
フレキシブル (F) なアイデア (I) で、皆さまのブレイン (B)
となり、社員一同、皆さまと一緒に過ごしてまいります。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
代表取締役社長 馬渕