「互いの違いを理解する」

大谷翔平選手のドジャース入団会見をご覧になった方は、多数いらっしゃるかと思います。会見は水原一平氏の通訳で進みましたが、その中でさすがと感じ入る場面がありました。会社の中でも通じるものがあると思うので、ご紹介します。

記者の中から大谷選手に対し、2回目の右肘手術(トミー・ジョン手術とは公表していません)について質問がなされました。
「2回目のトミー・ジョン手術をしたというのは事実なのでしょうか。」これに対し大谷選手は「前回とは違う手術なので、どういう風に表現するのかは専門外とするところなので、そこはドクターの方が詳しいかなと思います。」と答えました。

水原氏は、一連の説明はそのまま通訳し、この「ドクターの方が詳しいかな」の部分だけ、「Probably (you) talk to my doctor.」(おそらくですが、ドクターと話してみてください。)と直訳ではない言い方をされました。そして記者たちから笑いが起きたのです。

日本語で「そこはドクターと話して」と言えば、少し角が立ちます。大谷選手は婉曲的な言い方で相手に察してもらうという日本語の特性を活かして表現されたのです。

これに対し水原氏の言い回しはとても英語的で、「知りたければドクターに聞くのが一番だよ。」風なニュアンスで、「そりゃそうだよね。」と記者たちは納得して笑ったのだと思います。
このような場合、英語ではストレートに発言する方が相手の理解を得られます。さらに、Probably (おそらく)を付ける事でへりくだった言い方になり、きつい感じがなくなります。

水原氏は、日本語と英語(米語)の特長や、違う言語を使う人たちにどう言えばうまく伝わるのか、自分と相手の違いを理解した上で通訳されている事が良く分かる一幕でした。

私にとってこの一連のやり取りは、とても印象的でした。人と人が関係を築く時、言葉は必須です。言葉によって相手を理解し、受け入れる事でスムーズなやり取りが出来ます。

私達は、会社という枠の中に身を置いています。そこには多様な人々がいるので、自分と相手は違うのだという事を認識し、受け入れるのが重要且つ必須となります。それを満たすためには、1人1人が「自律している」という事が前提です。
自律した個人が互いの違いを認め合い、尊重する事が出来れば、その会社はとても粘り強い組織になると思います。多少引っ張られてもねじれても、伸び縮みしてまた元に戻る、ゴムのような結びつきのイメージです。ただゴムは、乾燥すると切れてしまいます。そうならないように、気遣いのある言葉で仲間との関係を潤し続けて行きましょう。

今年も株式会社ファイブ -F.I.B- は

フレキシブル(F)なアイデア(I)でお客様のブレイン(B)

となり、社員一同、皆様と一緒に歩んでまいります。
本年もどうぞ、よろしくお願い致します。

代表取締役 馬渕 功